驚異のナチ肺炎

[『ゾフィーの選択』から]

 

Sophie's Choice, by William Styron. London: Cape, 1979.

 

「ロシア人たちが[アウシュヴィッツ・ビルケナウ]にやってくることがわかると、SSは子供たちを殺そうとしました。その多くはポーランド人でした。ユダヤ人の子供はすでに死んでいたのです。SSたちは子供たちを生きたまま焼却壕の中で焼いたり、銃殺することを考えましたが、痕跡や証拠があまりのここらない方法を選ぶことにしました。そこで、凍りつくように寒い中、子供たちを川のところまで歩かせ、服を脱がせ、入浴でもするかのように水の中に入らせました。そして、そのあとで、ぬれたままの服を着せたのです。子供たちは自分たちの宿舎の前の地区にまで行進して戻り、点呼を待ちました。ぬれた服を着たまま立っていたのです。点呼は何時間も続き、その間、子供たちはぬれたままで凍えて立っていました。そして、夜がやってきました。全員が、風雨にさらされたために、その日に死にました。風雨にさらされ肺炎にかかって、すみやかに死んでいったのです。」[ホロコースト・ホラー物語]

 

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