2)ガスマスクもつけないで死体搬出作業を行なう特別労務班員とそれを見守るSS隊員(ベーレンバウム著『ホロコースト全史』)

 

キャプション:

上:全員が死ぬと、親衛隊の指示で囚人が死体を隣室に運び入れ、死体から金歯などが抜かれ、女性は髪を切られた。

下:その後、死体は運搬用エレベーターで地上の焼却炉へと運ばれ、34体ずつ1つのかまに投げ込まれた。

出典:ベーレンバウム著『ホロコースト全史』、創元社、1996年、299頁。

 

<コメント>

@   焼却棟UかVの「殺人ガス室」から死体の搬出作業を行なう光景の模型です。

A   ニュルンベルク裁判に提出された証拠資料NI-9912「害虫の絶滅(殺菌駆除)用のシアン化水素(チクロン)使用のガイドライン」によると、自然換気という条件のもとですが、このガス処理作業を担当する作業員にはガスマスクの装着が義務づけられています。

B   たとえ、「殺人ガス室」(死体安置室1)に非常に強力な換気装置がついていたとしても、部屋の床に残っているチクロンBの丸薬からはシアン化水素ガスが依然として放出されていたはずです。

C   また、Aの「ガイドライン」には、たとえ、排気が完了しても、室内のマットレスや枕に付着したシアン化水素ガスを除去するために、戸外で、12時間、ゆすったり、たたいたりしなくてはならないとあります。

D   ですから、「殺人ガス室」からシアン化水素ガスを完全に排出したとしても、依然として、囚人たちの身体や髪などにシアン化水素ガスが付着している可能性があるのです。

E   上記の模型では、床に残っているチクロンBから依然としてシアン化水素ガスが放出されている中で、特別労務班員たちがガスマスクもつけないで死体を搬出し、シアン化水素ガスが付着している死体から金歯や髪を取り除き、その作業を、やはり、ガスマスクをつけずに、制帽をかぶったままのSS隊員が見守っています。

F   きわめて不可解です。

 

目次へ

次へ