歴史的修正主義研究会
最終修正日:2003年9月21日
<質問004>
アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所当局は、本来ならば低い温度を保っておかなくてはならない焼却棟UとVの死体安置室1に暖房システムを設置する計画を持っていたといわれていますが、これは、死体安置室1を「殺人ガス室」として使おうとした証拠なのではないでしょうか?
<回答>
たしかに、1943年3月6日のイェーリング書簡が暖房システムの設置について言及しています。ホロコースト正史派のプレサック氏はその書簡の写真コピーを、自著『アウシュヴィッツ:ガス室の技術と作動』221頁に掲載しており、また、ホロコースト正史派のサイトもこの著作から書簡を転載しています。当該箇所を引用しておきます。
「Der [Leichen] Keller
1 mit der Abluft aus den Raumen der 3 Saugzuganlagen
vorgewarmt wird/The
[corpse] celler 1 will be preheated with the exhaust
air from the room with the 3 forced draft installations 地下[死体安置]室1は、3つの強制送風装置を使った部屋からの排気によって前もって温められるであろう」
そして、プレサック氏は、まるで決定的な犯罪の証拠を発見した探偵のように、次のように述べています。
「私の見解では、この書簡は、焼却棟Uの死体安置室1に殺人ガス室が実在したことを証明するもっとも重要な要素の1つである。死体安置室という、冷やしておかなくてはならない場所を温める計画が存在するということは、この場所が殺人ガス室ではないとすると、理解できず、馬鹿げたものである。」(『技術と作動』223頁)
<問題点>
@ たしかに、死体安置室は、死体の腐敗を防止するために、低温を保っていなくてはなりませんが(それゆえ、焼却棟UとVの死体安置室1、2は地下にある)、と同時に、厳寒期における死体の凍結(焼却をいちじるしく困難にする)も防止するために、極端な室温の低下も防がなくてはならないのです。
A また、死体安置室は死体や室内の清掃のために水道設備を備えていますが、厳寒期における水道管の凍結や破裂を防止するために、極端な室温の低下も防がなくてはならないのです。
B それゆえ、死体安置室が暖房システムを備えていることに、何の非合理性もありません。事実、「殺人ガス室」が存在していないザクセンハウゼン収容所の焼却棟の死体安置室は、暖房システムを備えています。
C ホロコースト正史派は、暖房システムがチクロンBからのガスの放出を促進するために必要であったと解釈していますが、そもそも、焼却棟UとVの死体安置室1では、2000−3000名の「大量ガス処刑」が想定されているのですから、犠牲者の体温によって室温はかなり上昇していますので、「前もって暖房する」必要はありません。一方、衣服や物品の害虫駆除室には、温風装置や暖房システムが設置されていました。
<結論>
@ 焼却棟UとVの死体安置室1に暖房システムを設置しようとする計画には、死体安置室としての使用という面で何の非合理性もありません。
<補足>
ホロコースト正史派は、焼却棟WとXについても、その中の部屋にストーブが存在したというだけで、その部屋が「殺人ガス室」であったと主張しています。この問題について詳しくは、
を参照してください。