歴史的修正主義研究会
最終修正日:2003年9月20日
<質問001>
ビルケナウ収容所焼却棟Uの死体安置室1(いわゆる「殺人ガス室」)備品目録の中に「チクロンB投入装置」および「木製カバー」という項目が記載されていることは、焼却棟Uに「殺人ガス室」が実在した文書資料的証拠ではないでしょうか?
<回答>
まず、問題の文書資料の写真コピーを掲載しておきましょう。プレサック氏の研究書『アウシュヴィッツ:ガス室の技術と作動』430頁に掲載されており、ホロコースト正史派のサイトにも転載されているものです。
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一番上の列に、タイプでさまざまな備品、たとえば、Laternen(カンテラ)、Klosettbecken(便器)などが記載されています。問題の箇所は、その一番右側の部分、手書きの部分です。この部分を拡大したのが次の写真コピーです。
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論点
@ まず、この備品目録は、焼却棟Uの死体安置室1(いわゆる「殺人ガス室」)ではなく、死体安置室2(いわゆる「脱衣室」)の備品目録だということです。プレサック氏は、彼の研究書の中で、この目録を作成した「事務員は間違いをおかして、いくつか項目を間違った行に書き込んでいる」と説明していますが、この説明にはまったく文書資料的根拠がありません。死体安置室1を何が何でも「殺人ガス室」としたいという非学問的な願望が反映されているように思えます。このような資料操作が許されているのは、歴史学の分野の中では、伝統的ホロコースト史学(「コード言語」説、「婉曲語法」説、「カモフラージュ」説その他)だけでしょう。
A 次に、問題の部分だけが手書きであることです。タイプで作成された文書に、後で誰かが付け加えたのです。誰がどのような意図で付け加えたのかどうか、まったくわかっていません。
B さらに、問題の部分の拡大写真コピーをご覧ください。判読が難しいのですが、プレサック氏やホロコースト正史派は、この部分の上の行を4 Drahtnetzeinschiebvorrichtungenと判読し、それに4 wire mesh introduction devices(4つの針金網投下装置)という訳語を、下の部分を4 Holzblendenと判読し、それに4 wooden covers(4つの木製カバー)という訳語をあてています。下の部分は、そのように判読することが可能かもしれませんが、上の部分については判読不能に思われます。
C たとえ、ホロコースト正史派のように解読したとしても、Drahtnetzeinschiebvorrichtungenなる備品が「チクロンB投入装置」を意味する根拠は、死体安置室1を何が何でも「殺人ガス室」としたいという非学問的な願望から離れれば、まったくありません。
結論
@ 上記の文書資料は、焼却棟Uの死体安置室2(いわゆる「脱衣室」)に、現在では判読しがたい2つの備品が、後に手書きで付け加えられていることを示しているにすぎません。
A したがって、ビルケナウ収容所焼却棟Uの死体安置室1(いわゆる「殺人ガス室」)備品目録の中に「チクロンB投入装置」および「木製カバー」という項目が記載されていることが、焼却棟Uの死体安置室1が「殺人ガス室」であった文書資料的証拠であるというホロコースト正史派の主張には、まったく根拠がありません。
補足
ホロコースト正史では、焼却棟UとVの「殺人ガス室」では、チクロンBの丸薬がチクロンB投下穴から針金網柱を介して投入されたことになっていますが、この「チクロンB投下穴」、「投下筒」、「針金網柱」が物的証拠、文書資料的証拠のまったく存在しない幻のようなものであることについて、詳しくは、
ホロコースト再審法廷:チクロンB投下穴、投下筒、針金網柱問題
を参照してください。