歴史的修正主義研究会

最終修正日:2004229

 

<質問5

わが国の正史派の研究者○○氏は、ドイツ側資料に登場する「移住」や「再定住」なる用語を「絶滅」と解釈する「コード言語説」、「婉曲語法説」を採用しているようですが、歴史的修正主義者はこの問題をどのように考えていますか?

 

<回答>

 たしかに、○○氏は、西岡昌紀氏のマルコポーロ誌掲載論文を批判した「日本版<アウシュヴィッツの嘘>――ナチ『ガス室』はなかったか?」という論稿の中で次のように記しています[1]

 

「…絶滅政策は厳重な国家機密事項であり、関係者の間では、ある種の術語が語られていたのである。…例えば、ヴァンゼー会議録も、表面的に見れば、『強制移住』だけを語っているようにも読める。しかし、この時期のナチ文書にたびたび現れるEvakuierungUmsiedlungという単語は、もはや普通のドイツ語辞典にある疎開や移住の意味ではなく、特定の、絶滅を念頭に置いた移送を指している。」

 

○○氏も、「コード言語説」、「婉曲語法説」を採用して、ドイツ側文書を「解読」しているようです。

 こうした奇怪な史料操作、史料解読が認められているのは、ホロコースト正史の分野だけでしょうが、ここでは、○○氏も高く評価しているプレサックの文章を引用しておけば十分でしょう。

 

ある歴史家たちは、第三帝国の犯罪的側面は『カモフラージュ』的手段を使って実行されたという考え方を利用して、まったく正当化できないような一般化を行なっても、それには根拠があると自説を正当化してきたようである。このような歴史家たちは、『カモフラージュ』説を使って、乏しい知識を確実なことにしてしまうことができ、混乱した思考を介して、事態をいっそう混乱させてしまった。疑いのある施設は、『カモフラージュ』説を介して、『犯罪的という烙印』を押された。シャワー室や害虫駆除・殺菌消毒ガス室は、殺人ガス室のカモフラージュであるというのである。もしも、発見された資料が、この疑いのある施設が実際に、その所定の目的で、正常に使用されていたことを証明すると、『カモフラージュ』説の第二の局面が姿を現した。すなわち、『コード言語』説であり、ある研究書では、欠くことのできない要素となった。この説によると、正常に使用されていたと述べている資料は、まさに『カモフラージュ』された場所のことをさしているので、『コード言語』で書かれているはずであるというのである。だから、ビルケナウ焼却棟UとVの死体安置室1は、殺人ガス室の機能を果たしていた、死体安置室2は 脱衣室の機能を果たしていた、とそれぞれ『解読される』というのである(『死体安置室3』は、もしもまったく明瞭な呼称を持つ部屋に分割されなかったとしたならば、どのように解読されるのであろうか)。このような歴史学の『方法論』は、それが無知であるがゆえにますます頑迷となり、客観的な研究の前に立ちはだかってきた。なぜならば、その施設の年代的進化、建築学的進化、ひいては、実際の建物の配置についてさえも無知であるがゆえに、安易な方法の採用を許してきたからである。『カモフラージュ・コード言語』説は、さらに、第三の説、すなわち、三部作の最後、『秘密』説で補強される。その説を使えば、自分自身の知識が欠けている理由を、犯罪を行なったとされる人々が『秘密裏』にそれを行なったからであると非難することで説明できるからである。」[2]

 

 

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[1] ティル・バスティアン著、『アウシュヴィッツとアウシュヴィッツの嘘』、白水社、1995年、151152頁。

[2] Jean-Claude Pressac, Auschwitz: Technique and Operation of the Gas Chambers, p.247.