歴史的修正主義研究会

最終修正日:2004229

 

<質問1

わが国の正史派の研究者○○氏は、ポーランドはもちろんのこと、ドイツ本国にもガス室が実在し、殺人目的に使用されていたと考えているようですが、歴史的修正主義者はこの問題をどのように考えていますか?

 

<回答>

 たしかに、○○氏は、西岡昌紀氏のマルコポーロ誌掲載論文を批判した「日本版<アウシュヴィッツの嘘>――ナチ『ガス室』はなかったか?」という論稿の中で次のように記しています[1]

 

「実際、ダッハウでガス室が建設されていたことは今日の研究でも明らかにされている。さらにいえば、ドイツ本国でも、ザクセンハウゼン、ノイエンガンメ、ラーフェンスブリュック、シュトゥットホフ、マウトハウゼン(オストマルク)の各収容所ではガス室が建設され、殺人目的に実際に使用されていたことが解明されている。…ドイツ本国にもガス室はあったというのが、戦争直後も今も変わらぬ定説であり、ブローシャト氏の発言を境に変更されたという指摘はあまりにも不正確である。」

 

論点

@         まず、歴史的修正主義者は、ポーランドにも、ドイツ本国(オーストリアも含む)にも「殺人ガス室」が実在したとは考えていません。

A         では、他の正史派の研究者はどう考えているのでしょうか。○○氏の上げている各収容所について、ヒルバーグの考えは次のとおりです。「[ダッハウ:]あったかもしれませんが、あったと断定するつもりもありません。一定の人々がガス処刑されたのか、されなかったのかという事実関係の問題です。ガス処刑されたのか、されなかったというのを決定するのは難しい問題です。いずれにしても少数でした。…[ザクセンハウゼン:]ガス室があったとは思いません、おそらくですが。…[ノイエンガンメ:]ガス室があったとは思いません、おそらくですが。…[ラーフェンスブリュック:]ガス室があったとは思いません、おそらくですが。…[シュトゥットホフ:]あったという証言がありますが、確実に存在したと断定できるほど重要な証言ではありません。…[マウトハウゼン:]小さなガス室があり、人々がガス処刑されました。」次に、ブローニングの考えは次のとおりです。「[ダッハウ:]現在ガス室と呼ばれている建物が、本当にガス室として建設されたのかどうかわかりません。そして、その建物が使用されたという証拠を見たことがありません。…[ザクセンハウゼン:]ガス処刑が行なわれたという証拠がありません。…[ラーフェンスブリュック:]ガス室が実在した証拠はありません。[シュトゥットホフ:]ガス室が実在した証拠はありません。」(以上ツンデル裁判での、ヒルバーグとブローニングの証言から)[2] ホロコースト正史派の「碩学」である二人が、ドイツ国内の収容所の「殺人ガス室」の実在性については、実在を否定するか、肯定したとしても、非常にあいまいな表現しか使っていないのです。

B         さらに、現在、ダッハウ収容所の見学者むけの標識は、「ガス室」とされる建物について、「『シャワー室』に偽装されたガス室は、ガス室としては使われたことがまったくなかった」と述べています。このテキストは一体何を意味しているのでしょうか。建築構造的に「殺人ガス室」に他ならないことを示している設計図が存在しており、それにそって建設が進められたが、何らかの原因で、未完成に終わったということなのでしょうか(囚人のサボタージュによってそうなったという説を唱えている人々もいます)。それとも、「殺人ガス室」としては完成しているが、何らかの原因で使用されなかったということなのでしょうか。前者であるとすると、「完成した殺人ガス室」と「未完成の殺人ガス室」とは、建築構造的にどこが異なるのかを明らかにする必要があります。後者であるとすると、使用されなかった原因、および、奇妙なことですが、ダッハウには「殺人ガス室」が実在しており、そこでは「ガス処刑」が行なわれていたという戦後の数多くの「目撃証言」にはなぜ信憑性がないと考えるにいたったのかを明らかにする必要があります。

 

結論

@        ○○氏は、「…各収容所ではガス室が建設され、殺人目的に実際に使用されていたことが解明されている」と明言しておられるので、これらのガス室とガス処刑の実在性について、さして自信をもっていなさそうにみえるヒルバーグ、ブローニング両氏に対して、たんなる戦後の支離滅裂な「目撃証言」だけではなく、文書資料的証拠、物的証拠、法医学的証拠にもとづいて、さらに、気が進まないでしょうが、修正主義者の研究も踏まえたうえで、この実在性を説得する必要があります。

 

補足

ダッハウ、マウトハウゼン、ハルトハイムの「ガス室」について、くわしくは、第二ロイヒター報告を参照してください。

 

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[1] ティル・バスティアン著、『アウシュヴィッツとアウシュヴィッツの嘘』、白水社、1995年、145146頁。

[2] B.Kulaszka,Did Six Million Really Die ? Report of the Evidence in the Canadian “False News” Trial off Ernst Zundel-1988.