歴史的修正主義研究会
最終修正日：2003年9月28日
＜質問008＞
ホロコースト修正派の研究者は、ビルケナウの4つの焼却棟（Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ）すべてが通常の焼却棟として設計・建設された（そして稼動した）と考えています。しかし、ホロコースト正史派は、4つの焼却棟すべてが「殺人ガス室」を備えた「絶滅施設」として設計・建設されたかどうかという点で、意見が分かれているようですが？
＜回答＞
たしかにホロコースト正史派のサイト（ニツコー）は、次のように述べています。
（Q&A14）「5つの焼却棟があり、それぞれが、1つの絶滅ガス室と、犠牲者を焼却するための焼却炉を備えていました。最初の焼却棟は本来の使用目的から改築されたものでした。残りの4つの焼却棟は 最初からガス室として設計されていました。
（完全を期するために：プレサックという名の、有能で高く評価されているアマチュア研究者は、もっとも大きな2つの焼却棟は、もともと死体安置室として設計されたが、 建設のごく初期段階でガス室に改築されたと考えています。彼の見解は研究者の中では少数派です。）」
この文章の中で、5つの焼却棟とありますが、それはアウシュヴィッツ中央収容所の焼却棟を含んでいるからです。この焼却棟Ⅰについては、ホロコースト正史派も、通常の焼却棟として設計・建設されたことを認めているのです。
また、焼却棟Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴが「それぞれ1つの絶滅ガス室」を備えていたと述べていますが、ホロコースト正史によれば、焼却棟ⅣとⅤの「殺人ガス室」は3つないし4つです。
また、プレサック氏の名誉のために正確を期しておきますが、彼は、焼却棟ⅡとⅢが「もともと死体安置室として設計された」と述べているわけではありません。もともと通常の焼却棟として設計されたと述べているのです。
さらに、プレサック氏の見解は「少数派」であると述べられていますが、アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所建築の専門家ペルト氏も、プレサックの見解に同調しています。
論点
① もともと、ホロコースト正史派は、アウシュヴィッツを「絶滅施設」とする決定は1941年夏にヒムラーから伝えられたというヘスの「自白」にもとづいて、アウシュヴィッツ・ビルケナウの「絶滅収容所物語」を組み立ててきました。そして、焼却棟ⅡとⅢが設計されたのは1941年秋、焼却棟ⅣとⅤが設計されたのは1942年8月ですので、時系列的に見れば、4つの焼却棟は「殺人ガス室」を備えた「絶滅施設」として設計されていなくてはならないことになります。このために、ホロコースト正史派の多くは、上記のサイトのように、4つの焼却棟すべてが「最初から」「殺人ガス室」を備えた「絶滅施設」として設計されていたと主張してきました。
② ところが、プレサック氏は、「殺人ガス室」が存在した文書資料的証拠を、死にもの狂いでアウシュヴィッツ中央建設局関連の大量の文書資料の中に捜し求めたのですが、一つたりとも発見できませんでした。
③ このために、プレサック氏は、焼却棟ⅡとⅢは設計と建設の初期段階では通常の焼却棟として設計・建設され、その後、「殺人ガス室」を備えた「絶滅施設」に改築された（だから、直接の文書資料的証拠は存在しない）という説を打ち出したのです。
④ そして、プレサック氏は、ヘスの「自白」との時系列的な矛盾を解決するために、何の文書資料的根拠もなく、ヘスがベルリンでヒムラーの決定を伝えられた時期を1941年夏ではなく1942年夏のこととしてしまいました。ペルト氏も、1941年夏ではなく、1942年7月としています。そして、焼却棟ⅣとⅤは、1942年8月に設計されていますので、この2つの焼却棟は「最初から」「絶滅施設」として設計・建設されたと主張しているのです。
結論
① ビルケナウの4つの焼却棟が最初から「殺人ガス室」を備えた「絶滅施設」として設計されたのか、それとも、焼却棟ⅡとⅢは通常の焼却棟として設計・建設され、焼却棟ⅣとⅤは最初から「殺人ガス室」を備えた「絶滅施設」として設計・建設されたのかという問題をめぐるホロコースト正史派の混乱は、ホロコースト正史派のアウシュヴィッツ・ビルケナウ「絶滅収容所物語」の根幹を動揺させています。
② ヒムラーの決定に関するヘスの「自白」を信用すれば、焼却棟ⅡとⅢが通常の焼却棟として設計・建設されていたことを説明できませんし、プレサック、ペルト両氏のように、ヘスの「自白」をしりぞければ、最初から「絶滅施設」として設計・建設されていたはずの焼却棟ⅣとⅤの「殺人ガス室」には、ベルトコンベア式の「大量ガス処刑」には必須の換気システムが設置されていないという矛盾を説明できないからです。
③ こうしたホロコースト正史派の混乱や矛盾を解決する手段は、ただ一つ、すなわち、信憑性のない「目撃証言」やソ連・ポーランド委員会報告にもとづいたアウシュヴィッツ・ビルケナウ「絶滅収容所物語」を放棄することだけです。